2011年8月9日火曜日

フジロック2011リポート ~いいか、ちゃんとやれ。バカにすんなよ!~

今年はi-toe(イトウ)、山DA、SHI村、略して“卑し”トリオが
23時半頃に目白駅を車で出発。行きの車内、シャッフルで流す
i-Podからはなぜか雨の歌ばかり。いやな予感というよりも、
どうせまた3日間雨降んじゃねーの?的な余裕の構え。

我々はここ数年で随分修行を積んできた。今年もフジロックから
帰還すると「雨最悪じゃなかった?」とか「雨ひどかったでしょ?」
とか声をかけられたのだが、それはなんなんだ?

我々は、安くないチケット買ってはるばる苗場まで、わざわざ雨に
打たれに行っているのだ、好き好んで。常に最悪の事態を想定して
臨めば何も問題ない。我々にとっては“想定外”すら“想定内”
なのだ。すでに「発想の転換」が済んでいるのだ。これでいいのだ。

などと雨への不安に虚勢を張り合うなどしているうち、27時頃に
苗場到着。今年は民間駐車場を利用。車から荷物を降ろしチケット
交換所まで移動。

クーラーBOXなど積み直したカートが引きづらいようで、取っ手を
叩きながらイトウが言う。
「カートの取っ手、もっと伸びないんすかね?」。

「伸びない取っ手を叩いても伸びるわけねーだろ! バカにすんなよ!
 そういう時はテントを横に寝せて積めばいいだろ、こうすりゃほら
 安定感も増すっつーの! これが発想の転換よ」

「山DAさんさすがです、そのわりにはなんで2浪もしたんすか」

などと話しながら、昨年悩まされたチケ交換での長蛇の列は今年はなく、
すぐキャンプサイト・Eエリアへ向かう。

「発想の転換」と言い張って、心臓破りの坂で重たいカートを引かずに
押して登るイトウ。逆にツライだけである。Eエリアで好位置をキープ。
早速テント設営スタート。夜明けまでまだ時間があるため、ランタンや
LEDランプの明かりが頼り。AB型3人による役割分担が見事。

就任したばかりの山DA復興担当相が現場にハッパをかける。
「いいか、ちゃんとやれよ。知恵を出さないやつはテントに寝せないぞ」

29時頃にはテント設営終了。モタモタしてイトウがなかなかテントに
入らない。山DA復興担当相がSHI村氏に言う。

「(イトウが)先に入るのが筋だよな」。

どうやら、テント内の安全をまずイトウに確認させたかったようだ。
そしてテントに入った山DA復興担当相がイトウに言う。

「今、後から自分が入ってきたけど、先輩がいるときは、自分が
 入ってから先輩を呼べ。長幼の序がわかってる制服向上委員会なら、
 そんなことやるぞ」

さて、がぶがぶビール飲んで仮眠しようとしたらイトウのケータイの
目覚ましが鳴る。

「イトウ、毎朝何時に起きてんの?」
「5時半っす」

なぜそんな早起き? きっと毎朝ジョニオさんの方角に向かって
礼拝でもしているんだろう。



■7/29(金)-----------------------------------------------

「イトウ、コンドーム何箱持ってきたの?」
「2箱っす」
初日の始まりである。

思いっきり雨である。今年は、あれもこれもと歩きまわらず、
観るステージをピンポイントで決めて、それをなるべく見届ける
というのが私の作戦。

ソウルフラワー → THE PAINS OF BEING PURE AT MY HEART →
シャーベッツ → アコースティック・パルチザン → リー・ペリー →
サム・ムーア → CSS → COLDPLAY

みたいな流れで行きます。


アヴァロン。家の近くにあるナポリタン屋が進出。
ここまで来て吉祥寺って… ちょっと萎え~
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さて、早速ながら、毎年たくさんの漫画家先生たちが来場してるらしい
模様をリポートしておりますが、

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【2009年】
つの丸先生、藤子不二雄先生、ゆでたまご先生、やなせたかし先生?

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【2010年】
福満しげゆき先生


今年も相当豪華だヨ!

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やなせたかし先生

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臼井儀人先生

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長谷川町子先生

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犬丸りん先生

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そしてなんとキース・ヘリング先生に

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ディック・ブルーナ先生まで!

2名を除いて故人ばっかなのがゴイスー。


ずっと雨なのでほぼポンチョ被ったまんまの初日でしたが、
ベンジーが「ジョーン・ジェットの犬」歌い出した瞬間だけ
超晴れたのが笑えました。

夜、オレンジコートでのサム・ムーア終了後、私の背後を
歩いていた男2人組の会話。

「すげーよかった」
「ね」
「泣いちゃった」
「うん」

イイネ!


テントに戻り、今日を振り返る。山DA復興担当相とSHI村氏が
シャーベッツの話をしていたのだが、なんとあのイトウが、
シャーベッツを観なかったと言う。

あれだけベンジーを崇拝していた男が、このザマである。完全に
「GYAKUSOU」ではなく「MEISOU」している。奇しくも2日目の1発目、
クラムボンのステージにブルーハーブのボスが登場したらしいが、
それに先駆けて先輩2人がイトウに説教。

SHI村「お前の体内に、もはやベンジーのエキスは微塵も流れていない」

山DA「何が悲しいって俺はそれが一番悲しい」

SHI村「イカ天でブランキーが有機生命体と対戦した時、三宅裕司に
『色気に対抗する君たちの持ち味は何でしょう?』と訊かれて、
ベンジーが何と答えたか言ってみろ!」

イトウ「わかりません」

山DA「(ベンジーの真似して))『正義』」

3人「ひゃーはっはっ!」


(2:01あたり)

いつも心にベンジーを!


「今日観たので一番よかったの何すか?」
イトウに訊かれたので私は答えた。
「んー、サム・ムーアかな」



■7/30(土)-----------------------------------------------

朝から大雨。

雨に打たれながら歯を磨く。というのも実に変な光景であるが、
これもまた楽し。歯クソの転換である。


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「ボブ・ディランに似てるってよく言われます」

寝起きのイトウが言う「昨日観たので一番よかったの何すか?」。
お前それ、さっき寝る前に訊いたばっかじゃねーか! バカにすんなよ!

そろそろ会場に向かおうとすると、イトウが全く出発しようとしない。
テントの中でポンチョを着たり脱いだり、それを何度も繰り返している。
この動作は登校拒否児のそれである。

安くないチケット買ってはるばる苗場まで来て、楽しいライブが始まる
というのに「え、もう行くんすか、え、早くないすか? マジでもう
行くんすか?」とテントから出ようとしないイトウ、なんなんだ?
そういう宗派? バカにすんなよ!


伊良部自殺のニュース。そしてチャットモンチーのドラム脱退のニュース。

「イトウ、チャットモンチーのドラムとなでしこ澤、つきあうならどっち?」
「澤すかね、澤はサッカーうまいですからね」

俺はこういうやつに公務員をやらせていいのか、本気で憤ってしまう。
バカにすんなよ!


2日目、大雨でドラゴンドラが運転中止。ANI+ロボ宙+AFRA が残念ながら
キャンセルに。

少年ナイフ → ロンサム・ストリングス&中村まり → Little Creatures →
KIMONOS → Faces → cero

結果的にこんな流れで行きました。観たの少な! なんか疲れてテントで
昼寝とかしたかんね!


会場ではタレントのユージという奴を目撃。オアシスでは水原希子
泥まみれの女たちがあたりにころがっている中、1滴の泥もついてない
美しい女性。そして彼女を率いるはジョニオさんであった。さすが、
イトウが毎朝ジョニオの方角に拝んでいるだけのことはある。

「イトウ、ジョニオが讃岐うどん食ってたぞ」

「マジすか、ジョニオさんはフルマラソン走る前にうどん食べるんすよ、
 きっとこれからフル走るんすよ、俺もうどん食って水原希子と完走
 したいっすよ」

 …バカにすんなよ!


オアシスでハマ・オカモト以外のokamoto'sメンバーを目撃。

「つーかハマ・オカモトの顔しかわかんないすよ普通」とイトウ。
バカにすんなよ!

アヴァロンでトッド・ラングレンに遭遇。指がフランクフルトみたいに
デカかった。「See You Tonight!」と言って別れてみたものの、
Facesに備えて寝てたので結局観ず。トッド、ごめん…


テントに戻り、2日目を振り返る。個人的にはオレンジコートをスルー
してしまったのが悔やまれるが、実に楽しそうにのびのびとギターを弾く
ロン・ウッドを観られたのでよし!しかしFacesは観客少なかったなぁ、
ヘッドライナー史上、最低動員だったんじゃ? ただし、Faces観たい、
という人しか集まってなかったから、グリーンは愛のオーラに溢れてたネ。

真夜中にそんな話をしながら空を見上げると満天の星空。美しい。
流れ星も見た。明日はきっと…



■7/31(日)-----------------------------------------------

激しい雨の音で目覚める。こーなることは、昨夜の満天の星空を
見上げながら3人ともわかっていたのだあははは。ざまあみやがれい。

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テント前の草むらでは朝から玉虫がお盛ん。計6組ものカップルが
雨天プレイ。イトウに見習ってほしいものである。


もう最終日か。そーいや楽しみにしてたバディ・ガイが中止に
なっちまったんだよネ。

ハンバートハンバート → GOMA & THE JUNGLE RHYTHM SECTION →
トクマルシューゴ → MANISH BOYS(斉藤和義x中村達也) → ラキタ →
eastern youth → CORNERSHOP → FUJI BLUES PROJECT →
CAKE → THE NEW MASTERSOUNDS → wilco → THE MUSIC

みたいな流れで行きます。


アヴァロンで腹ごしらえ。

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漢字まちがえてっぞ

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つづりまちがえてっぞ

せっかくの復興支援・反原発だからこそ綴りは、いいか、ちゃんとやれ。
山DA復興担当相の厳しいチェックが入る。


GOMA(事故前の朝霧のステージ以来です)をずっと観てたんだけど、
終わる直前にホワイトステージに移動してしまったんです。そしたら
GOMAがステージの最後に事故を経てからのコメントを述べたらしく
会場の皆が涙したという。肝心なとこでしくじったよおいら。


オアシスで腹ごしらえ。イトウとうどんを食べていたら、サ上を目撃。
「イトウ、サ上がいるぞ」
「え、サ上て何すか」

その後、アヴァロンに移動してたらまた前方からサ上… かと思いきや、
こちらに歩いてくるのはまた一回り太った様子の小山氏であった。
仕事の都合で今年は3日目のみ参戦。出会い頭で小山氏が言う。
「なんかうめえ食いもんあった?」 さすがです。

そのまま移動してたらriefuを目撃。
「イトウ、riefuがいるぞ」
「え、riefuて何すか」

そしてようやくアヴァロンでMANISH BOYS。演奏始まるまでしばらく
イトウと座って待ってたんだけど、かなり混み始める。俺の前に
紛れ込んできたオバサンが腰を下ろそうとして尻をついたのは
なんと俺のツンと立てた長靴のつま先。オバサン落ち着いて!

これまでイトウに対してさんざん「バカにすんなよ!」を連発して
いた俺は、斉藤和義と中村達也による「バカにすんなよ!」で
ただただ号泣した。


演奏が終わると慌ただしく出てきたのが加藤登紀子とYMOのお三方。

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一連の原発事故問題についてしばしトークを展開。こーゆーの
いろんなところでどんどんやってほしいですネ。


そしてまたイースタン吉野の顔を拝みに行ってしまった。

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CAKE、THE NEW MASTERSOUNDS、wilcoも素晴らしくなかなかどうして
充実の最終日、最後に小山氏と後輩1名を交え、今年も男所帯を貫いて
しまった情けなさに皆で乾杯。


小便に行ったはずのイトウが帰って来ないので、一旦解散にすると、
なんとイトウはゲロ吐いてポンチョと短パンがゲロで汚れたので、
先にテントに戻っていたという。

「おい大丈夫かイトウ」と声をかけると、「GYAKUSOU」の短パンに
履きかえたイトウがテントから出てきた。こいつランニングに行く
つもりなのか? アホなのか? とさらに心配がつのったのだが、
「会場でGYAKUSOU履くのってナシっすよね?」とイトウ。
じゃ持ってくんなよ!

イトウが寝静まってから俺は、油性マジックでイトウのGYAKUSOUを
HAKISOU(吐きそう)に書きかえた。


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月曜朝。見事に晴れている。テントたたんで帰る。

今年もフジロックが終わった。帰路は車内でFMぐんまの番組を聴いて
帰るのが定番になっている。これは毎年、月曜朝にフジロックを振り返る
特集をやってくれるという、一部の好事家たちの間で人気の番組である。

ただフジロックは選曲上の特集であり、番組自体の今日の投稿テーマは
「私の出会った有名人」である。GOMAの「Afro Sand」が爆音で流れたかと
思えば、「10年前、兵藤ゆきさんに会いました」とか「ハワイ行きの
飛行機で伊東四朗さん一家に遭遇しました」とか相当なぬるま湯投稿が
読まれる。実にアナーキーな番組だナ、と聴いていると、

「続いてはラジオネーム・山DAガンさんから。『フジロック会場で
 okamoto'sのハマ・オカモトさんを目撃しました、間近で見ると
 とってもカッコよかったです』というメッセージをいただきました」

なんとイトウが後部座席で勝手にケータイ使って私の名で番組に投稿
していたのである。

「おいイトウ、俺が見たのはハマ・オカモト以外のokamoto'sメンバー
 だっつーの、バカにすんなよ!」

「まじすか」

「どうせならさ、東進ハイスクールの長岡先生を吉祥寺で目撃しました、
 でよかったんじゃねーのか?」

「ここ群馬ですから… リクエストしたokamoto'sの曲は採用されなかった
 みたいすね」

「しかしこうして、事実と異なる情報を公共の電波に乗せてしまった以上、
 責任を取る必要がある」

山DA復興担当相は辞任する意向を表明した「いい経験をさせてもらった」。
就任4日目で辞めるという異例の事態となった。


お昼過ぎには東京に到着。私は環七の途中、高円寺駅で降ろしてもらう。
お疲れ様でした!


フェスブームも落ち着き?、開催前には「ヘッドライナーが弱い」
「メンツがイマイチ…」などのイッパシの意見もよく飛び交い、
次第に同行者も少なくなりつつあるフジロックですが、我々が
毎年毎年飽きもせず行くのは、このような珍道中的しょっぱい夏を
捕まえに行くためであります。



高円寺駅のホームに出て電車を待っていると、私の横に並んだのは
私服姿の波田陽区。手提げビニールの中に衣装の浴衣が入っている。
最後の最後でまた「私の出会った有名人」更新である。

イトウにメール「波田陽区に遭遇、いま同じ車両。」

イトウから返信「FMぐんまに投稿しときます。リクエスト曲は何にしますか?」

イトウに返信「“ギター侍のうた”に決まってっだろ! バカにすんなよ!」



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トッド・ラングレンと私



フジロック・リポートっつーか、イトウ・リポートだなこりゃ。






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